たまりば

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マリオ3でのキノコの突然変異の考察
2020年03月10日 09:37

スーパーマリオシリーズの代表的なアイテムにスーパーキノコ(や1UPキノコ)がある。

今は左のようなデザインで定着しているが初代スーパーマリオブラザーズでは右のデザインだった。
現在と初代のスーパーキノコ
初めて初代のキノコを見たときは何だこりゃと思った。
変わりすぎだろ何があった。
…と、ずっと思っていた。

先日マリオ2を初めてプレイして知ったのだが、まず顔が付いたのはマリオ2だったんだな。
マリオ2のキノコ
マリオコレクション(今風のデザイン)やマリオDXのおまけ(初代のデザイン)でしかマリオ2は見たことがなかったので知らなかった。
スーパーマリオシリーズの様々な物に顔が付いていることについてはこのように言われている。
雲や草には顔があるように見えるが、これは立体感を出すために書き込まれた線が、顔に見えていただけだった。
しかし、これが「怖い」と言われたことから、次回作の『2』では、背景の雲や草にはっきりとした顔が書かれた。
https://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/3410.html

ただちょっと不思議なのは、初代の時からパッケージイラストにはマリオの手に持つスーパーキノコと思しきキノコにしっかりと顔が書かれていることだ。地面の花をも差し置いて。
初代スーパーマリオのパッケージのキノコの顔
スターやジュゲムの雲には初代から顔があるし、これは物には顔を描くというスタイルは初代からあったのを2で徹底したということか。

にしても。
スーパーマリオ1・2・3・ワールドのキノコ

顔以外も2から3で変わりすぎじゃないか。
…と思っていた。
実はそうでもなかったのである。

まず、実は上の画像には1つ嘘がある。
マリオ1・2の斑点は橙~茶色・マリオ3の斑点は赤だと認識していたのだが(そして実際上の画像もそうなっているが)、斑点の色はどれも同じである。ついでにマリオの服や赤ノコノコの甲羅、スーパー木の葉も同じ色である。
マリオ2・3のキノコの色
今回キノコの色について調べていて初めて気づいた。
スーパーファミコン以降の真っ赤になった色のイメージや、空の色やキノコの地の色の違いで誤認していたものと思われる。
そして同じ条件で撮られた別のソフトの画像はあまり存在しないことから、気づけなかったのだろう。
実際、先の画像はMarioWikiから取ってきたのだが、見ての通り色は一定していなかった。ファミコンの色はかくも曖昧なものである。

次に地の色が白になった事について。これはアートスタイルの変化に対するハードの制限である。
マリオ3ではキャラクターの絵に(大半は黒の)縁取りが付くようになった。
これにより、縁に1色とられることとなり、残り2色でキノコを描くことになった。
地の黄色を残すか柄(え)の白を残すかの選択になるが、1UPキノコとの統一や他のキャラクターとの兼ね合いを考えると、白にするのが自然だろう。
ちなみにマリオ3の通常の(地上面での)スプライトのパレットは
・プレイヤーキャラ用(色はパワーアップなどで変わる。標準マリオはベージュ/赤茶/黒)
・白/赤茶/黒 (スーパーキノコ、スーパー木の葉、赤ノコノコの甲羅、パタクリボーなど)
・白/緑/黒 (1UPキノコ、緑ノコノコの甲羅、蔓/葉など)
・ベージュ/黄土/黒 (クリボー、ノコノコの顔など)
の4種である。

とはいえ縁取りを付けただけで突然3のデザインになるわけでもなかろう。…と思っていた。
試しに2のキノコに縁取りだけ付けてみよう。
ところで、縁取りの付け方には4連結と8連結がある。
4連結と8連結
不思議なことに、マリオ3ではほとんどのキャラクターのほとんどの部分は8連結で縁取りされているのだが、キノコは4連結である。
キノコだけ最初に描かれたとか、デザイナーが別とかだろうか。何にせよ4連結で描くことにする。
まずは外形をそのままにして描くのが自然だろう。
マリオ2から3のキノコへ_1
すると、妙に痩せた印象になってしまった。縁取りが無ければ物と背景との境が外形だと認識するのに対し、縁取りをすると縁の1pxの中央を外形と認識するからだな。
1pxだけ広げよう。
マリオ2から3のキノコへ_2

さて、ファミコンにはスプライトの左右反転機能があるので、左右対称な物体は必要なタイル数が半分で済む。
タイル数は節約したいので、左右対称のデザインにしよう。
とりあえずそのまま左右対称にしてみると、
マリオ2から3のキノコへ_3
左はあからさまに2つの大きな斑点が並んでしまって不自然だ。右の方が望みがありそうだな。
くっついてしまった上の斑点を切って、中央のスペースが不自然に空いているので、消えてしまった左のものくらいの大きさの斑点を1個置く。
マリオ2から3のキノコへ_4

ほぼマリオ3のキノコになってしまった!

比較してみよう。
マリオ2から3のキノコへ_比較
特に上部の丸みが完全に一致しているのと、斑点の形の大部分が一致しているあたりがポイントが高い。
縁取りを付けてからここまで制限に従って不自然な部分を直していっただけだ。
ここまできたら後は笠を1px下に下ろし、柄を1px太らせ、斑点を自然に調整するだけ。その程度の変化には特に不思議はない。

マリオはハードの制限から生まれたデザインというのは有名だが、キノコもそうだったのだなあ。
次作のワールドで色数やスプライト数の制限が無くなったにも関わらず3のデザインを(地と斑点の色は反転したが)踏襲、更にこの時左右非対称になったのがその後左右対称に戻り、一番制限のきつかった3のデザインに固定されたというのがなかなか面白いところだ。