初心者こそ金をケチらず良い道具を使うべきだと言う。
子供に書道の筆を買い与えるにあたって、上等な筆を使うと字が上手く書けるので安物を与えると書道が嫌いになってしまうという意見を見た。
最初に悪い道具を使うと変な癖が付いてしまうので良い道具の方が上達が早いとかよく聞く話だ。
まあそれはそれで事実なのだろうけれど…、
実体験なのだが、
小学校で習字セットを買った時の話だ。普通は確か1200円くらいの筆がセットになっているのだが、父が5000円だかする高級な筆を買ってきた。
いや、指定のセットが筆が選択式で高い方を選んだのだったか…いやそれは裁ち鋏の時だったか…記憶が定かでない。
まあなんにせよ高い筆を使うことになった。
筆というものは手入れが必要なものである。
使う度に墨が残らないよう綺麗に洗い、きちんと乾かさねばならない。
慣れない子供が適切にできるようなものではない。
私の筆も見事に固まった。
5000円とは子供にとって相当な大金である。
それを自分の不手際で無駄にしたというのは大変なトラウマになる。
もう1つ。私はクラスメイトたちが安物の筆を使う中自分だけ別の高級な筆を使うことになったわけだ。
するとどうなるか。クラスメイトは1人だけ別の筆を使う私を馬鹿にするのだ。
子供というものはそういうものである。
この件のせいばかりでもないだろうが、どうも高価な道具を買うのが苦手である。
高価な新しいものになかなか飛びつけない。買うにしても事前によく調べて、安いものがあればまずはそちらを買い、使ってみて、なるほどこういうものかこれは高いものを買うべきだったなとなってやっと高い方を買う。高いものしかないと買わずじまい。
いや更に酷いか。安いものを使ってみて、これは高いものを買うべきかもしれないなとなったとしても、でも今のでおおむね問題なく使えているしな…と更によほどのことが無いと高いものを買わずじまいになりがちだ。
もっと軽率に金を使った方が人生が豊かになるのではないかとしばしば考える。
多少乱暴に扱っても壊れないような道具なら、高級品を使っても問題は少ないだろう。
思えば、上でちょっと触れた裁ち鋏の件だが、小学校だか中学校だかで裁縫セットを買った時、裁ち鋏が安物とまあまあ高級なものの選択式だったのを高い方を選んだ。小さい頃から母の高級な裁ち鋏を見て育ったのもあり、安物はちょっと安っぽすぎる気がしたと思う。
これは正解だったと思う。鋏はそうそう壊れるものでもなく、そう手入れの必要なものでもない。
安物との違いだが、少なくとも刃渡りがやや長かったので長い距離を切る時に楽だったはずだ。あとはきっと切れ味もよかったのだろうと思う。
何が言いたいか分からなくなってきた。
1) 下手に扱うと駄目になるような道具は初心者のうちから高級品を使うのはマイナス面も大きいと思う。
2) あまり壊れそうにない道具は高いものを買ってもいいんじゃないかな。むしろ積極的に買えよ、自分。
の2点だろうか。