エレベータに乗ったことのある人で問題が理解できない人はいないと思うので、説明は割愛する。
既存の方法としては漢字表記とアイコン表記が見られる。
漢字表記の欠点は両方門構えで非常に見分けづらい事だ。
アイコン表記はどうかというと、いろいろな記号が見られるがどれも一瞬で意味を理解することが難しいように思う。
例えばよくある3角形のアイコンは非常に分かりづらい。
閉じるボタンが、開いた扉をパースを付けて描いた図のように見える。
また、パッと見たときに、開くボタンは図形が中心にかたまっていて、閉じるボタンは図形が全体に広がっているというのも原因だろう。
中心に線を入れると幾分ましになる。
3角形の代わりに矢印を使うと、意味の誤解はあまり起こらないように思うが、図に濃さが足りない気がする。どうも「パッと見て分かる」という性質に欠けている。
急いで押そうとすると間違えない代わりに思考が間に合わずどちらも押せないで終わりそうだ。
色分けをしているのも見かけるがあまり効果を感じない。
色分けの効果としては、たくさんあるもののうち何か一つ重要なものを目立たせるということがあるのだろうが、ドアを操作したい時に目に入るのは開閉ボタンのみである。
2つの内の片方に色が付いていても、どちらを目立たせたいのか分からない。
そもそも、どちらかが目立ったところで、「開ける」「閉める」のどちらも重要な機能である。どちらかを特別視する理屈を思いつかない。
そんなところで、解決策を考えていこう。
解1. 別のアイコン
既存のアイコンは皆「開く」「閉じる」という動作を表そうとしている。
その他のアイコンを考えてみる。
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091169902336.html
ここにいくつか例が挙がっていた。
○×はなかなかいいと思うが、○→開く、×→閉じるという対応はあまり感覚的でないと思う。
青と赤の信号的色分けも同様である。青と赤は進む/止まるであり、開く/閉じるではない。
眼のアイコンは、開く/閉じるの意味の判断はできるが、そもそもエレベータの中に眼が描いてある意味を理解できるだろうか。このアイコンが全世界的に広まれば別だが、過渡期には辛い。そして過渡期に辛いと広まらない。
他の例で、こちらはどうだろう。
http://www.geocities.jp/shuuchan56/kaiheibutton.html
いろいろ書いてあるが要するに、開いた/閉じた状態のドアを図案化したものである。
文字を入れたりアイコンに微妙な変化をつけたりしたいろいろなパターンが載っているが、基本はこれである。
これは秀逸だと思う。これを超えるアイコン表記は思いつかない。
解2. 文字表記
文字は一見して意味の分かるよい方法だと思う。ただ不運にも漢字で書くと似ていたというだけで。
なので他の文字を考えてみる。
英語は駄目だ。
見た目の違いは十分だが、いかんせん文字数が多すぎて上手くボタンに配置できない。
頭文字に略すとさっぱり意味が分からない。
広まればこれでも十分だが広まるまでがつらい。
英語を使うならこういう方法がいいのではないだろうか。
ボタンに文字が収まらないならボタンを大きくすればいいじゃない。
あるいは、これでもいい。
ボタンに文字が収まらないなら外に出せばいいじゃない。
どちらも、現在のエレベータを見るに場所の余裕は十分あると思う。
しかしここでは日本のことを考えているので、英語はあまり望ましくない。
そこで、これはどうだろう。
「ひらく」「とじるorしめる」では文字数が多すぎるが、2文字ならかなりスペースを有効活用できる。
ここでは正方形のボタンを考えているが、多少横長のボタンもよく見かけるのでそれならなお良い。
上のサイトに「あ」「し」というのがあったがさすがにそれは意味が分からないだろう。
そういえば簡体字だとはっきり区別つくんだよな…。
中国のエレベータはこうなっているんだろうか。
日本でも正式なものではないにせよ略字がある。
ただの「開」「閉」よりは幾分見やすい。
門構えの中の开と才の部分だけ目立たせるのもいいかもしれない。
解3. ボタンをやめる
例えばこんな案がある。
http://onisci.com/340.html
ボタンではなく、つまむ/開く動作で操作するスイッチにするという案だ。
さすがにこれは開く動作の方がやりづらいとか、コスト面とかで問題が多いと思うが、この考え方は面白いと思う。
解4. ボタンの機能を変える
開く/閉じるボタンに加えて「開延長」ボタンがあるものがある。
これを使っていて思うのだが、バリエーション豊かな開閉ボタンと違いこのボタンはどれも「開延長」と描いてある。
しかも漢字3文字もあるので他のボタンとの見分けははっきりと付く。
そこで、「閉じるボタン」と「開延長ボタン」の2つだけでよいのではないだろうか。
これなら閉じるボタンがどんなデザインをしていようと見分けの問題はない。
ただし問題として、開延長ボタンを使うときちんと閉じるボタンを押さないと閉じてくれないので他の階の人に迷惑をかけるということがある。
1つのボタンで開閉2つの機能を持たせることも考えられる。
例えば、
1回押すと開く、ダブルクリックで閉じる。
これなら操作を覚えれば押すボタンが分からなくなることはない。
と考えていたが、さらに良い方法を発見した。
「押している間は開く、放すと閉じる」
こうするとどうなるか。
普通の開閉ボタンの操作を考えてみよう。
ドアを閉めたいと思う時は「閉める」という動作のためにボタンを1回押せば済む。
一方、ドアを開けたいと思う時は誰かがドアを通り切るまで「開けておく」必要があるので、ボタンは押しっぱなしになる。
つまり、このボタンを「閉じるボタン」だと思って押しても「開くボタン」だと思って押しても問題なく働くのだ。
なお、これだけだと大人数でエレベーターに乗ってドアを開き続けていた場合、最後の一人が出る時はボタンを離した瞬間にドアが閉まり挟まれる。
これを避けるためには、「ボタンがn秒以上押されていたら放されてもしばらく開けっ放しにする」とすればよい。n=1~2程度が良いと思う。
急ぐ時や、エレベーターから出る時に「閉」ボタンを押す律儀な客は、こういうときはボタンを「─・」と押せば良い。覚えればそれほど面倒でもないだろう。
この1ボタン体制は自分的にかなりいい案だと思っているのだが、一つ問題が残っている。
このボタンに何と書けばよいかだ。
「ボタンを押している間中ドアは開きます。ボタンを放すとドアは閉まります。」
や
「ドアを閉めたいときはポンと押してください。ドアを開けておきたいときは押し続けてください。」
などと文章で書くと読むのが面倒だ。
「開/閉」
だと知らないと意味が分からない。まあこれも「広まればいい」のだが。
アイコンにするとしても、このボタンの機能を端的に示すアイコンが思いつかない。
おまけでアイディアだけ。
体重センサを使って人が入っている時と入っていない、あるいは一人だけしかいない時で動作を変えることはできないだろうか。