たまりば

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「遺伝子組み換えトマトには遺伝子が入っている」
2013年04月16日 00:10

「普通のトマトには遺伝子はないけれど、遺伝子組み換えトマトには遺伝子が入っている」。
半数のヨーロッパ人は、これが事実だと思っていた。
ビョルン・ロンボルグ著『環境危機をあおってはいけない』という本の一節らしい。

これだけ見るとヨーロッパ人の科学知識を疑いたくなるが、この文章は非常にミスリーディングである。いや、ミスリーディングになってしまった。
この本、原文は英語のようである。それを日本語訳したことに問題がある。

・ 遺伝子
日本語「遺伝子」は「遺伝」に関係したものであることが一目瞭然である。遺伝するものには当然遺伝子が含まれているだろうと判断が付く。
一方英語では、gene(遺伝子)がheredity(遺伝)に関係していることは文字からは分からない。
一応語根のgen-からは「生む」という意味が感じられるかもしれないが、そこから「遺伝子」に結び付けるのは無理だろう。

・遺伝子組み換え
日本語「遺伝子組み換え」は「遺伝子」を「組み換える」ことだと判断できる。
元から入っていなければ「組み換える」ことはできない。
一方、英語で「遺伝子組み換えされた」は「genetically modified」となる。
直訳すれば「gene的に変更した」といったところか。
gene「を」変更したともとれるが、gene「で」変更したともとれる。
「geneで変更した」のなら、元は入っていなかったgeneを入れたと考えても不自然ではない。

このような状況で質問の真偽を判断するには、「genetic」なる専門用語の意味を知っており、geneticallyにmodifyするという事の意味を正しく判断しなければならない。
英語での質問は、上記日本語訳の印象ほど一目瞭然ではなかったはずだ。

もしかすると他にキリスト教と進化論あたりの問題もあるのかもしれないが、少なくとも翻訳によってショッキングさが増しているのは確かだろう。

なお英語以外のヨーロッパの言語には詳しくないが、だいたい似たようなものだろうと思っている。
とりあえずWikipediaで「遺伝子」と「遺伝」を調べてみたが、「遺伝子」と「遺伝」の単語には関連性が無いか、あるいは遺伝に対応する言葉が「genetic遺伝」のようになっていた。


  • Post time : 2013年04月16日 00:10│Comments(0)
    URL欄を実験的に消してる間に廃止されてしまいました。まあいいか。
     
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