たまりば

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文明滅亡後へのメッセージ
2012年07月08日 07:44

面白いネタがあった。
[思索の海] 危険を語り継いでいくこと
放射性廃棄物の保管施設で、放射能レベルの適切に下がる10万年後までいかにして危険性を知らせるかというものだ。
おそらくやはり「保険」の一つとして「普遍性を持った言葉やシンボル」に言及しているのではないかと推測しますが、現実的には「絶えず語り継いでいくこと」が一番重要なんだろうと思います。
ということには異論はないのだが、折角なので「語り継げなかった」前提で色々考えてみる。すなわち、今の文明は滅び、人類の知識は石器時代かせいぜい青銅器時代あたりまで戻っている想定だ。

記録する情報

まず伝えるべき内容を3パターンに分けてみた。
1. 理想的には「危険、○○年まで放射能あり」と伝えたい。が、そのためには「放射能」の何たるかの説明に入るまでに相当の基礎知識が必要となる。現代文明の全てを記録する勢いだ。当然、言語を使わなければ実現不可能だろう。日時を示すのも難しい。
2. 少し譲歩して、「説明しづらいんだけどあなた方の知らない危険あり、入ると死ぬ」くらいを伝えるとする。これでも言語を使わずに伝えるのは不可能に思える。やるとして赤(=血の色)で不安を掻きたてるような模様を描いておくくらいか。
3. 言語を使わずに確実に伝わる内容と考えると、「入り口を厳重にふさいである→入るな」くらいしか思いつかなかった。

ここで、3はわざわざ中に入ろうとする人にとって無意味だし、2が伝わったところで何が危険か分からなければ盗掘を避ける脅しのようなものと判断されてやはり入ろうとする人は入ってしまうだろう。
となると、人が入り始めてからしばらく経てば嫌でも「入ると人が死ぬ場所」という噂は広まるだろうから、少々犠牲者は出るものの伝えたかった内容はちゃんと伝わっている。
まあしかしそれでは話が終わってしまうので、ここは意地でも1人の死者も出さない方針で、なんとかして上記1の内容を伝えたい。

放射能の危険を理解できるまでの内容を文字で書き表すとしてどれくらいの分量になるだろうか。本にして数十冊か数百冊か数千冊か、まあ文字を使っていいならそこまで非現実的な分量にはならないと思う。
この分量の言語情報を文明を超えて伝わる形で記すことを考える。まずは文明は滅んだとはいえ言語は受け継がれることもあるだろうから、なるべく多くの言語で書いておけばそれだけ解読できる可能性は高まる。
ただ、言語は残っても文字は変わるかもしれない。それを考えると全ての情報は国際音声記号(IPA)表記にして、かつIPAの解説を図入りで残しておくと人間の発声器官が変わらない限り音は再現できるだろう。
逆に文字だけ残って言語が変わることはあるだろうか。あったとしてもその時は文字列の意味が全く変わってしまって読めないように思う。なのでやはり文字を残す必要性は薄い。全ての音声情報はIPAにしてしまおう。
次に、言語が完全に断絶して、現在の地球上の言語とは全く別の言語・文字が使われている状況を考えてみる。
伝えたい情報は絵や記号で表せる内容ではないので、結局のところ「文字で書かれた伝えたい情報+その文字を解読するための知識」を記すことになる。
どういう情報があれば文字は解読できるかを考えると、絵を使うのが強力だろう。つまりイラストをふんだんに使った辞書のようなものを作ることになる。
また、文章の方でも、ヒエログリフのように、文章中の単語ごとにその単語の大まかな意味の分類(漢字で言えば部首のようなもの)を表す絵文字をつける方式はなかなかよいと思う。
ただヒエログリフの駄目なところは表意文字と表音文字が入り乱れているところだ。これではどの文字が意味を表すのか分からない。そこで、見た目で明確に区別がつくように、表音文字はIPAにして、表意文字の方は書く手間を考える必要が無いのでどうせなら写実的な絵にするとよいと思う。
あとは欧米語の分かち書きシステムは単語の区切りを判断するのに便利なので使おう。
ここまですると必要な情報量は元の10倍か100倍かといったところだろうか。似た言語は省くなり挿絵を極力小さくするなりしてなんとか縮めたいところだ。

記録媒体・保管方法

上で考えた情報をどのような媒体にどのように記録し、どのように保管すればよいだろうか。
第一に、冗長化は大事なのでなるべく多種多様な手段を併用すべきだ。以下色々考察するが、スペースが許せば全部使うべきだろう。

まず材質について考える。
・金
金は科学的に安定だ。金の板や金メッキした板に刻まれた文字は何も手を加えなければ10万年を耐え抜くのではないか。
ただし金には重大な欠点があって、金銭的な価値を持つものとして盗難にあう可能性が高い。熔かされてコインとして流通したりして、情報は失われてしまう。
まあ金の価値が10万年を経て不変かは分からないが、今のところ数千年不変であり、今後も続く可能性は高いだろう。
・石
石も、古代の石碑が残っているところから見てかなり安定だ。10万年ももつ気がする。
かさばりそうにも思うが、現代の加工技術をもってすればわりと小さく収まるかもしれない。
欠点として、ピラミッドの表面が建築資材として剥ぎとられたように、これも盗難にあう可能性が高い。
・紙あるいはプラスチックのシート
あまり10万年もつとも思えないが、適切に外界と遮断すれば不可能でもないかもしれない。
これの利点として、金や石と違って物自体に価値が無いので盗まれにくいことが考えられる。
…いや、むしろ逆かもしれない。記された情報さえ消えなければ何に使われても問題ない。
例えば、技術の粋を集めた高性能なプラスチックシートに情報を記録しておけば、何かものを包むのに便利なシートとして大事に使ってくれるのではないか。
古代超科学で作られたこの謎の模様付きシートは重要な交易物資として世界中に広まり、どこかの古代マニアが模様に込められた意味の解読に挑むのだ。

次にどう記録するか。
記録する情報量を増やすにはなるべく小さな文字で書きたい。人間の眼で見えないサイズの文字を書いておいて、レンズの作り方を普通のサイズの文字と絵で説明するのがいいかもしれない。
あるいはレンズが10万年もつならそれでもいい。ガラスはわりと10万年もつのではないか。その場合でも全面をマイクロ文字にすると文字があることが分からないので、普通のサイズの文字から段階的に小さくしていくとよいだろう。
小さな文字の欠点としては耐久性が下がると思われるので、全ての基礎となるような重要な情報は大きな文字で、最後の細かい部分になるほど字が小さくなるといったレベル分けが必要だろう。

最後に保管方法。
なるべく劣化しないような保管方法は、まあ普通に考えつくだろう。例えば光を遮断して滅菌して真空で保管とか。
問題は、盗掘にどう対処するかだ。建物の強度で侵入を防ごうとすると、頑張っても鉄器の発明までが限界だと思う。
情報媒体を鋼鉄のカプセルに入れておけばもう少しもちそうな気がするが、そこまでするとカプセルを破壊するときに中身まで破壊される危険がある。(星新一のショートショートにそんな話があったなあ…)
それを考えると練習用にカプセルを複数用意して…って、別に情報を隠すことが目的じゃなかった。放射能の危険を知らせようとしてたんだ。
となると、情報は廃棄物保管施設とは別のもっと見つけやすい場所に置いておくべきだろう。
そこでは、盗掘にあっても情報が失われないように、超科学シートに情報を記すなり、建物自体の壁に書くなりしておく。
そして廃棄物保管施設はなるべく見つからないように隠しておき、万一見つかった時のために、情報保管施設を先に見つけて情報を解読されていることを前提で、「危険、放射能あり」とだけ書いておく。

日時の指定

おまけ。
放射能が安全なレベルまで減る時期を教えるにはどうすればいいか。
10万年のスパンで日時を示すとなると放射年代測定がいいだろう。
適当な放射性物質を用意してそれの放射能がどれだけ減ったかを基準に経過時間を測定する。
…あれ?